2017/01/10

海外販売のはじまり。

2017/01/10
開化堂の茶筒は、イギリスやアメリカ、スイス、イタリア、台湾、中国、シンガポールなど、数多くの海外のお店と取引をさせていただいています。今でこそ、これだけ多くのお店からお声掛けをいただいていますが、やはり、最初から皆さんとつながっていた訳ではありません。今回は、そのきっかけとなったお話をお伝えします。


紅茶の本場、ロンドンからのメール

始まりは、お茶筒を取り扱いしたいというロンドンからのメールでした。メイフェアにあるPostcard Teasという紅茶屋さんからでした。
家業に戻って5年(2005年頃)、ずっと、海外との取引をしたいと思っていたので、このメールを見た時は本当に嬉しかった。海外で売りたいと思って帰ってきたし、それが売り込みにいったのではなく向こうから来てくれたこと、何より紅茶の本場ロンドンからだったことも嬉しかった。

その後、メールのやり取りが続き、ついにはオーナーのティムさんが、京都まで来られて直接お会いすることができました。今では家族ぐるみのお付き合いをさせていただくまでになりましたが、その頃を思い返すと、お互い緊張していたなぁと思います。
最初は探り探りの会話をしながら、途中、お互いの思うところが同じだったと気づいてからは、話はトントンと決まっていきました。そしてついに、紅茶の本場ロンドンと取引が始まることとなりました。私自身、これは絶好のチャンスと思い道具を持ってロンドンに行くことにしました。


初の海外実演

その頃、開化堂はまだまだ小さな工房。海外出張の予算が潤沢にあるわけでもなく、もしあかんかったら海外旅行に行ったと思って諦めてと、往復の飛行機代だけをかけてロンドンへ飛びました。ティムさんのご好意によりお店に泊めてさせてもらって、10日間ほど実演をさせてもらいました。
今から思うと、この頃はじっくりと時間を使えた時期だったように思います。毎日、紅茶を飲みに来られるお客様にじっくりゆっくり開化堂のことについて話をしていました。


この時、たまたま行ったヴィクトリア&アルバートミュージアムに強い感銘を受けながら、この国の人たちに認められて、いつかはここに展示されるといいなと、ぼんやり考えていました。



ロンドンと京都

その頃のつながりが今でもあるし、10年経った今でも毎年会いに来てくれるお客様もいる。つくづくロンドンと京都って似てるなと思います。最初は遠慮がちで少し離れて見てる。本当に仲良くなるとず〜っとの付き合いが始まる感じです。

以来、毎年寄せさせていただき、開化堂の話をしたり、知り合いの工芸職人さんたちと寄せさせてもらったり、中にはBBCの取材を受けることもありました。
また、今では親戚のようなエッセイスト・小説家である入江敦彦さんに、買い物デーと称してロンドンを案内いただいたりしました。そうする中でロンドンの動向も見えてきて、どう伝えるのかもだんだんと理解してきたように思います。


昨年も入江さんのお宅でご馳走になった手料理と、使っていただいている開化堂の花瓶

ロンドンの街の風景を。(大好きな車も少し…)



その甲斐あって、ティムさんとつながりのあったマーガレットハウエルさんとお付き合いするようになり、ジャスパーモリソンさんのお店で売ってもらうようになったり、また、モノクルラジオに出演したりと、だんだんロンドンの街に開化堂が浸透していくようになりました。

そして、お付き合いが始まって10年が過ぎたころ、僕にとって本当に夢のような知らせが届きました。なんと、ヴィクトリア&アルバートミュージアムの永久保存が決まったのです!これはティムさんなど多大な尽力があってこその事ですが、私にとって10年間のご褒美のような、本当にありがたいことでした。




そして、2016年の9月もロンドンに行ってきました。今回はロンドンデザインウィークの一環として、マーガレットハウエルさんに、100年続く開化堂をインスタレーションとして展示をしていただました。こんなお付き合いがこれからも続けていけるよう、日本同様、きちんとした物を作り、それを伝えていきたいと思います。



マーガレットハウエルさんでは、美しく展示していただきました!



2017/01/01

普段の風景を切り取った「年賀状」

2017/01/01

皆さま、あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。

今回は、開化堂から送らせていただいています年賀状のことをお伝えしたいと思います。


私達のつくる茶筒は、素材や形の簡潔さや美しさを感じていただける商品ですが、皆さまの目に触れることの少ない制作工程の中でも、違った美しさを感じられるタイミングがあります。今年の年賀状では、そのワンシーンを切り取って皆さまにもぜひそれを見ていただければと思い撮影・制作しました。





撮影したのは、銅板を切り、円形になるように曲げて「ハッソ」という留め具で固定したものを、出来た順に積み重ねていく、といういつもの制作作業中の一コマです。この時、まだ部品でしかない金属同士が非常に複雑な映り込みを作り出し、整然としているようで混沌としていて、また、無個性のようで個性を感じられる、不思議な美しさを見ることが出来ます。





それはまさに手作りの中でしか見えない景気であり、見るものの立ち位置がほんの少し変わるだけで、様々な表情をみせ、未完成であるがゆえの美しさ、きらびやかさ、少し触れると崩れそうな儚さ、見方をかえると、職人たちの個性のようにも見えてきて……見るほどに、今、私が日々感じていることを投影するものにも感じました。

皆さまの目にはどう映るでしょうか?

本年も、ものづくりに精進し、皆さまに喜んでいただける商品をお届けして参ります。

どうぞよろしくお願いいたします。