2016/08/22

開化堂の日常

2016/08/22

開化堂本店の周辺には、古い町並みとともに、旅館や銭湯なども並び、美しい水を湛える高瀬川や鴨川にもほど近い、京都らしさを感じられる場所にあります。

この日は、水無月祭(市比賣神社)のためのぼんぼりが。

古い町並みと、自然がほどよく調和しています。

朝の静かな通りの風景。

 河原町通りを東に折れるとすぐに開化堂が見えます。


そんな環境の中、開化堂の一日が始まります。

店舗裏にある一室に、職人やパートさん10名ほどが、「おはようございまーす」と、声を掛け合いながら、場の中央に置かれた茶筒を次々と手に取り、手元では茶筒を撫でつつ、顔は皆の方をむいた「朝礼」が始まります。

この日は棚卸しということもあり、いつもよりも少しキリッとした雰囲気の中で、五代目から、在庫確認や各案件の進捗確認、職人達へのアドバイスや、「これはどうする?」「今はこうやってるけど、もっとええやり方ないか?」など、意見を出し合う形で、端的ながらも、テンポよく進んでいきます。






朝礼に限らずですが、茶筒を作る上で、品質はそのままで、いかに早く、無駄なく効率的につくれるか、といったことを皆で真剣に話し合っています。これは、弊堂に限らず、どんな会社さまでも同じだと思います。

15分ほどで朝礼が終わり、皆、朝礼で話し合ったことを持って、工房に入っていきます。

また、別の機会に詳しくお伝えしたいのですが、茶筒を作る工程は全部で130もあり、急いでも、1日に30~40個ほどしかつくれないため、工房では、寡黙な作業が続きます。

最近ではつくる機会の少ない「一貫目」を制作する五代目。

巨大な金属刃で、金属板を均一に切る作業をする原くん。やはり集中力が必要です。

ムラ無く仕上げるために、微妙なちから加減が必要な磨き作業をする穴吹さん。

その後、お昼休憩をはさみ、16時頃からまた、皆で集まっての「休憩」があります。
そこでは、お茶菓子をいただきながらの、ゆるーい団欒となります。

若手の職人が増えたこともあり、和気あいあいとした雰囲気で、「このお菓子どんな味?」「お菓子のキャラ描いてみた!」など、この日は、他愛のない話をしながらの休憩となりました。




開化堂では、家庭的、家族的な職場づくりを意識しています。
工房では、総勢でも20名に満たない人数で、茶筒づくりはもちろん、商品の受注処理や、梱包、発送手配、接客応対などを行うため、こまめな意思確認や、伝達などそれぞれのコミュニケーションが非常に大事になってきます。
中には、もっと少し踏み込んで「最近ちゃんとごはん食べてる?」みたいな、オカン的な世話焼きも必要だと思っています。人によっては、こういった関わり方が苦手な人もいますので、面接の際にしっかり話を聞くようにしています。

そういったこともあり、朝礼や休憩は、なくてはならない時間でもあります。


少し長くなりましたが、お客さまからすると私達との接点はお茶筒だけ、という方が大半かも知れませんが、つくり手や、その日常を知っていただくことで、お茶筒の背景を少しでも感じていただけたらと思います。




2016/08/12

色変化を楽しむ、茶筒の撫で方。

2016/08/12
開化堂茶筒の特徴である色の変化。
今回は、味わいのある色変化をお楽しみいただくための「撫で方」についてお伝えできればと思います。「お使いいただく際に、手の平で撫でて」とお話をさせていただきますが、どんな感じで撫でればいいの?というご質問も頂戴しますので、動画も交えて具体的に説明させていただきます。

とは言えとても簡単です。
両手でそっと茶筒を持ち、左右どちらかの手の平が、万遍なく茶筒の表面に触れるようにしながら、天面、側面、底面をそれぞれ1~2周程度撫でる。これだけです。

これを、できれば毎日続けていただければベストです。




しかし、「撫でる」ことを目的としてしまうと、毎日続けることは少し難しく感じられるかもしれません。お茶やコーヒーを入れる時など、毎日茶筒を使う際、一緒に茶筒を撫でることを習慣にしていただくと、無理なく色変化を楽しんでいただけるのではないかと思います。
季節や、人によって手の平の水分量が違うなど個人差もありますので、手が乾燥しやすい方の場合は、少し多めに撫でていただくと良いと思います。

銅、錻力、真鍮のそれぞれ個性があり、色変化にも違いがあります。

【銅】
使い始めると、すぐに色が変わっていく銅の茶筒。日々、全体をなでていただければ、1~2年で綺麗な飴色に落ち着き、さらにお使いいただくと、だんだん色変化が均一になっていきます。



【錻力】
3つの中で最も色変化の期間が長い錻力。30~40年かけて銀、灰、黒へと変わっていきます。変化の途中には地文様の美しさも愉しむことができ、最終的には渋みのある茶筒になります。



【真鍮】
色変化の期間は5~10年。銅よりじっくり変化が愉しめる素材です。使い始めの金色から徐々に赤み、もしくは黄色がかっていき、10年もすると銅に似た濃い飴色に落ち着いていきます。


でも、やっぱり毎日は、、という方でも、茶筒を使われる際に、少し時間をかけて撫でていただくだけでも、色の変化を感じていただけると思います。
ただ、中にはしばらく使わなくて時間が経ってしまい、まだらな色になった、茶筒の表面がザラザラする、水滴などの痕が緑のサビ(緑錆)になるなどの場合があります。商品や状態にもよりますが、こんな場合は、磨き直しをすることで、ある程度もとの状態に戻すことができますので、改めて色変化をさせたい!という時はご相談ください。

磨き直しは、以下の方法で承っております。
・本店に直接お持ちいただく。
・本店に茶筒を送っていただく。

磨き直し作業をさせていただいておりますが、受け取り、発送に必要な送料などはお客さまのご負担でお願いをしております。(かなりの年数が経っている、表面にベタつきなどの付着物があるなど、磨きに難のある場合は作業料を頂戴する場合があります。)
また、茶筒の変形などの修理も同様に承っております。


お茶やコーヒーを入れて飲む時間は、休憩する、リラックスするなど、気分転換として、忙しい暮らしの中では、非常に大事な時間です。その時に、少しだけお茶筒に目を向けていただき、「あ、いい色になってきたな。」という変化を感じながら、撫でつつ、愛でてていただければうれしいです。


【夏期休業のお知らせ】
誠に勝手ながら2016年8月14日~8月16日は夏期休業とさせていただきます。その間、Kaikado Cafeは営業しておりますので、こちらで茶筒をご購入いただけます。
尚、Cafeでは茶匙の名入れは承っておりません。ご了承下さい。